電源ケーブルの恐ろしさ

 オーディオアドバイザーに格上げされたような友人Tだが、そのアドバイスは予想以上であった。

 友人Tの亡くなられた親父さんの法要のついでに、電源ケーブルをごそっと持ってきてもらって、試聴しながらセッティングを変えて、あれこれやってみた。いろいろやって、そこそこの音になり、しかし彼のオーディオシステムよりもいい部分を見つけながらも今ひとつの感じを否めなかった。

 すぐにメールが来た。どうもステップダウントランスからタップまでのケーブルとタップのケースが気に入らないらしい。オヤイデさんを利用させてもらっているのは僕もそうだが彼もそうだ。しかし、ケーブルで気に入らないものはやはり気に入らないらしい。僕はというと、高いお金(彼からからすれば低次元なお金)を出しているから、オヤイデさんを信用したくなるのである。

 で、オヤイデさんで買ったOCB-1 EXsのコンセントはいいが、ケースとケーブルは気に入らないらしく、OCB-1 STはすべて気に入らないらしい。そこでCS-2000Tのトランスに直でつないであったOCB-1 STをはずして、フジクラの5.5SQケーブルをトランス直で1mほどつなぎ、CSEのCON-2というコンセントプラグを配した重厚なケースへと、ミキサーやFire Face800をつないだのであります。

 これは劇的な変化でした。低音が出たばかりでなく、躍動感が出てメリハリが出てしまった。スティーリーダンのCDはさらによくなり、逆に自分のミックスしたものは聞くに堪えないものに変化したのです。ミルトンナシメントなどの地味な録音だと感じていたものが、非常に重要なものであると考えるほどに、モニター環境は一変しました。具体的には、リバーブの音が邪魔臭く聞こえ、音だけで判断するならば自分の耳を信じることができるのではないか?というくらいの変化でありました。

 200Vを100Vにステップダウンする恩恵をようやく享受できた、というところでしょうか?一つ一つの電源ケーブルを換えながら試聴してみた結果も、微妙なケーブルのニュアンスを自分の中にインプットできたという意味で、大きな経験でした。