全体を見ながらアレンジする

 レーベルという一つの形を作ってみると、音楽家としての新しい側面を実感する。今まで、いつも曲に対して向き合っていたものが、トータルとしてのアルバムの中の曲、というイメージに変わってくるのだ。あるいは、バンドとしての曲ということになるだろうか?

 例えば、Jポップの今はやりの曲を聴いたとしよう。それから、続けて同じシチュエーションでRosemary&Timesの曲を聞く。続けて聞く。そうすると、アレンジは違っても、これはRosemary&Timesの曲なんだな、と一聴してわかる。根っこが同じなのだ。

 そして、自分たちの曲のレコーディングに戻っていく。具体的には、今まで1曲を仕上げるのに使った集中力を分散させて、この曲の仮歌を録ったら、次は他の曲の仮歌を録る、という具合だ。今までは仮歌を録ったら、ベースを入れて、ギターを入れて、というようにやってきた。その手順から外れるわけである。

 全体として眺めながら、アレンジをしていく。そんなことを、レーベルという側面の副産物としていただいた、そんな感じがしたのだ。