GET LUCKY

Get Lucky

Get Lucky

 いうまでもなく、マークノップラー(Mark Knopfler)の作品である。ソロアルバムが続いている。その中でも、とても良い出来だ。バンドスタイルでやっている。つまり、他にギタリストもいる。ホルン奏者もいる。フルート奏者もいる。

 落ち着いた作品だが、意欲作であることが、聴いてわかる。何がわかるかって?ギタリストとしてではなく、あくまでも音楽家としてのやむにやまれぬ衝動に突き動かされている感じがするのだ。それは、詩であったり、音色であったり、ということ。でも、自分の中をはみ出ない領域を熟知している印象がある。これは、なかなかできるものではない。

 そして、思うのだが、彼はやはり無意識にライブというものを前提としている、そんな感じがする。そういう意味で、無理はしていない。曲の作り方がそうなのだ。細やかなニュアンスでギターを弾くが、曲は大らかなままである。

 労働者である僕は、台風18号の被害を受けて、復旧作業中に、このアルバムを携帯プレイヤーで聞いていた。励まされますな。声も、プレイも、曲も、フルートも、心に染み入ります。それから、歌詞も(輸入盤を買ったから、英語歌詞を見て、自分なりの解釈をしている)。

 追記。

 労働者として、キャビン付きトラクターで草刈りを行ったのだが、そのキャビンの中には、カセットFMプレイヤーがある。本当に久々ぶりに、カセットテープにこのアルバムを録音して、作業中に聞いた。ところが、右スピーカーは低音の雑音が顕著に入る。それを聞いていて思ったことは、音楽における音色の重要性、である。

 どんなに美しい音楽であれ、音色がひどいものであったのなら、聴くに値しない。そういうことなのだ。