南こうせつ
彼は、もしかすると僕の最も影響を受けた最初のボーカリストかもしれない。カーペンターズや吉田拓郎や井上陽水のほうが先に聞いたはずだが、洋楽を聞く前は、南こうせつが最も好きだったと思う。
もう25年以上は、彼のソロアルバムもほとんど聞いていない。たまにテレビで見る程度だ。
その彼が、神田川を20年も封印してきたとは知らなかった。そして、もうその封印は解いたと。
僕も、25年以上、かぐや姫や南こうせつを封印してきたようなものだ。それが、去年歌うことを始めて、封印を解かざるを得なくなった。もちろん、彼らの曲を演奏するわけではないが、自分の中の血の流れている事実、そのことは避けようとも避けられないことだし、歌というものは、流れている血以上のものでも以下のものでもない。何よりも、今でも南こうせつのことはよく知っているし、演奏を何十年も聴いていなくたって、どんなプレイをしたかは体が覚えている。
個人的に知っているわけじゃないですからね、勘違いしないでくださいね。
流れている血は、生まれながらにして持ったものと、生きていくうえで身についたものと当然両方が混ざっているものだ。今日の放送は、団塊の世代に向けての放送であったけれど、その下の世代の僕は、違った意味でのメッセージをもらった気がしたのである。