自分の中の掘り出し物を見つけ出しては衆目にさらす

 毎週作曲するようになって、イメージの具体化の速度が上がっている。大事なことは、常に、リズムを伴った旋律である。自分の表現したいものをすばやく見つけ出すことが、旋律に対するお礼のような感じの作業になっている。

 具体的には、ますます、一度だけ弾くという機会が多くなってきた。ループのリズム素材あるいはクリック音をバックに一度だけキーボードを弾く、そのメロディに対して一度だけリズムギターを入れる、一度だけベースをキーボードで弾く、思い立った時にエレキギターにシールドをつなげていきなり一度だけソロをとる。こんな具合だ。リズムをそろえるクオンタイズはしない。

 もちろん、人前に曲をさらすのであるから、編集はする。一度だけ弾いたフレーズの中から、気に入ったものだけあるいは悪くないものだけを残して、後は切り捨てるということもよくある。が、あくまで自分の口から体から発せられたフレーズの羅列であることには変わりはない。誰々風とか、何々風とか、そういう物まねイメージとは無縁の世界だ。悪しき日本の風習は、一蹴されなければならない。自分のとった行動は自分で責任を取らなければならないのだ。恐れることはない。自分のイメージが枯れ果てるまで、自分の中の掘り出し物を見つけ出しては衆目にさらす行為を続けてみるつもりだ。