清濁併せ呑んで

 3/24に最初の骨格が浮かんで以来、18日かかってしまった。まだ流動的な部分もあるが。
 詩の設定は、夢を追いかけるためだけに生きたことのある男が、夢を追いかける娘を送り出す時に、言葉に出せないで、心の中でつぶやき自らの過去を回想する、というものだ。
 一つ断っておくけれど、僕の長女はまだ9才。現実をそのまま書いたものでないことは確かだということ。一つ一つの歌詞に映像が僕の中に残り、様々な想いが交錯する詩だ。断片をつないだものではあるけれど、過去を振り返るための作品ではないつもり。


「清濁併せ呑んで」詩曲 寺田潤史


闇夜に 光る窓が 動いている
娘を乗せた 列車が 走り去る


「あちらの世界を目指す おまえ
こちらの世界を 覚えておいて」


清濁併せ呑んで


彼を乗せた車は 蛇行して
海の朝や 古代を 彷徨った


あちらの世界に媚びるには若く
こちらの世界を築き上げた


「オリエンタルもヨーロピアンも
ジャパネスクもいいけれど
おまえのその歩いている足元に
咲いている花は どこから来たのだろう?」


「1.0も2.0も
携帯電話もいいけれど
おまえのその瞳の隅に隠れている
抑えきれない視線が みどりに揺れている」


闇夜に光る窓を動かした
約束されたものは 破られる


あちらの世界の 強がる思いは
こちらの世界の においを嗅いだ?


清濁併せ呑んで


罪を犯した過去が 蛇行して
怒りの夜を貫いたとしても


あちらの世界は 今も変わらず
こちらの世界から まぶしくみえる


「ファーストフードも セカンドハンドも
サードパーティもいいけれど
おまえのその歩いている足が踏む
草の根は深く どんなに強いだろう?」


「嵐の夜も 日照りの午後も
凍える指も見ただろう?
お前はここで生まれ 生きてきた」
彼を乗せた車は こちらの世界へと戻る