昔好きだった外国の曲を参考にする

 日本の業界の人は、昔からパクリが上手だった。というよりも、パクリでないとダメだった感じがある。もちろん皆が皆じゃないけれど。明らかにパクリとわかるものを平気で流しても恥ずかしくない土壌があったのは事実だが、今はどうなのだろうか?ヨーロッパの「人まねは最低」という意識は、日本の音楽家にまだ芽生えていないような気がする。

 こういう批判的なことを思った時、以前は楽曲制作最中に人の曲は聞くまい、と極端なことを考えたものだ。今は、平気でいろいろ聞く。もちろんパクルつもりは毛頭ないけれど、ボブマーリーはどういうベースで唄っていたんだっけ?とか、エリッククラプトンはどんなバッキングだっけ?とか、おもにその楽器のフレーズが、音響的なバランスをどのように維持しているかなどを、外国の曲できいてみるのだ。こんな時に、iTunesは役に立つ。

 曲全体のバランス、空間の度合い、音の乾き具合など、自分が昔聞いたものを久しぶりに聞くことがこの頃多い。で、やっぱり自分はこういう雰囲気が好きなんだ、ということを確認するだけなのだが、その確認は、オリジナリティへのエネルギーの一つとなることも多いのだ。「人まねは最低」という意識で育ったもの同士が、同じ土俵に立っているようで。