人間のテンポ

 が、僕は、よほどの失敗がない限りは、タイミングなど、変えたりはしない。クオンタイズといって、自動的にその曲のテンポもあわせることも出来るが、それはしない。人間くささが皆無になってしまうからだ。

 今は、進化しているから、人間くささを出すために、リズムの揺れすら数値で記憶して変化させる方法を用いている人も多いと聞く。Rosemary&Timesでは、クリックすら使わないから、テンポも揺れる。便宜上、わかりにくいから、揺れたテンポにあわせてSteinberg NUENDO3の編集上のテンポの数値を変えて、演奏者のほうに合わせているのだ。クリックを使う録音つまり一定のテンポのままの演奏は、とても安定して聞こえるが、機械のタイミングに人間を合わせるものなのだ。

 「草子」なんかでは、一定のテンポでずっと録音してきた。いや、ずっとではなく、PCで録音編集するようになってからだ。4トラックのカセットデッキを使っていた頃は、そうではなかった。自分ひとりでデモテープを作る時には、カセットデッキとMIDIを動機させてはいた。

 Rosemary&Timesでは、とりあえず人間のグルーブでだけやっている。今後、どう変わるかはわからないが、人間のテンポも意外と正確なのだ。ただ、盛り上がったところなどで気持ちが先行し、テンポが上がる場合もあるし、テンポが上がったらテンポを戻すということも自然な形で結果として演奏されていることも多いのである。